知れば分かる!『体脂肪』との付き合い方(2)
こんにちは!アスリートから食育まで食の力でベストコンディションを作るお手伝いをさせていただいている管理栄養士の吉田桃子です。
前回は体脂肪とは何か、体脂肪を減らすための考え方についてお話させていただきました。
前回コラム>>>「知れば分かる!『体脂肪』との付き合い方(1)」
今回は 『体脂肪を簡単にコントロールできる食べ方』 についていよいよお話したいと思います。
カロリー神話、信じていますか?
このお仕事をさせていただいていると、様々な方と食事やダイエット、体脂肪についてのお話をする機会があります。その中でカロリー(摂取エネルギー)についてお話をすることも多いのですが、カロリーが全てだと思っている人がとても多いのです。
カロリー収支(摂取カロリーと消費カロリーのバランス)さえ辻褄を合わせれば良いように考えていたり、1日のトータルの摂取カロリーだけに注意していたり…
前回、確かにカロリー収支のお話はしましたが、これが全てではもちろんないという前提のお話なのです。
どういうことかと言うと、例えば朝7時、昼12時、夜19時に3食に分けて2000kcal1の食事を摂った場合と、同じ人が同じ内容の2000kcalの食事を朝9時、昼15時、夜22時に食べた場合、同じく朝は食べず、昼11時、夜20時に分けて食べた場合でも栄養素の消化吸収の仕方が変わるので、それによる結果(=体脂肪の付き方)も変わりますし、同じカロリーでも食べるものの内容によっても大きく結果が変わってきます。
実はカロリーよりも重要とさえ言えるのが『食べ方』なのです。
なぜ、人は太るのか?
それは、ズバリ、身体の時間に逆らった食べ方をするから、です。
睡眠についてのコラムで体内時計についてお話しましたが、そう、その体内時計(時計遺伝子)です。
>>>「眠れない!寝ても疲れが取れない!寝ても寝ても眠い!そんなあなたへ(1/2)」
人間の身体は24.5~25時間周期なので、実際の1日24時間とずれていってしまうけれど、朝起きて朝日を浴びることと、朝食を摂ることでリセットされ、ずれずに済む、というお話でした。
この時計遺伝子から出る脂肪を合成するたんぱく質 『ビーマルワン』 は朝6時から16時まで低下している時間帯なので、この時間帯までに食べたものでは太りにくいのです。
当然間食もこの時間帯までに済ませ、朝・昼食をしっかり食べて、夕食は早めに軽めに済ませる。
これが時計遺伝子に合わせた食べ方なのです。
20時~深夜2時に食べたものは、全く同じものを朝食に食べた場合に比べて4倍も太りやすく、体脂肪に変わりやすいのです。
また、朝食を食べないのも時計遺伝子に逆らった食べ方になります。
朝食を抜くと体内時計のリセットがされず、また、体温が上がらず、代謝も上がりません。
人間の身体は食事を抜くことで、省エネモードになり、さらに次の食事を脂肪として蓄えようとするようにできていて、1日の摂取カロリーが500kcal少なくても朝食を抜く人の方が朝食を食べて500kcal多い人よりも5倍も太りやすいというアメリカでの調査結果もあるくらいです。
日本人の20代の男性のなんと7割近くが朝食を抜いているのですが、朝食を食べずに摂取カロリーを減らしてもやせる(体脂肪が減る)どころか太っていく(体脂肪が増えていく)のです。
食事を抜いて一時的に体重が減ることがあっても、それはあくまでも一時的であって、エビデンスでも欠食(特に朝食の欠食)は肥満リスクが大きく高まるのです。
『食べるもので身体は作られる』という当たり前のこと
同じ500kcalでも食べるものの内容が違えば、食べたもので出来ている私たちの身体(=結果)も変わってきます。
朝食に何を食べたかで仕事や勉強などの知的作業においての集中力に大きな差が出ることも分かっています。簡単に言うと、栄養バランスの良い食事(=主食・主菜・副菜・乳製品・果物)を摂るといいパフォーマンスを発揮できる、ということです。
おにぎりだけ、パンだけなどの朝食では、良いパフォーマンスはあまり期待出来ないので、あくまでも毎日ではなくどうしても時間がない場合の方法としては、バランス栄養食品に頼る方がおにぎりやパンだけなどのような偏った朝食よりその日のいいパフォーマンスを期待できると思います。それほど『何を』『いつ』『どう』食べるか、という食べ方が体脂肪をコントロールする上で重要なことなのです。
『体脂肪をコントロールできる食べ方』
・3食抜かずに食べる。
・朝食は特に栄養バランス良く食べる。(難しい場合はバランス栄養食品の力を借りる)
・間食は16時までにする。
・夕食は軽めに20時までに食べ終える。
今まで色々な方法でダイエットに努めてきた方には信じられないくらいシンプルなことのように思えるかもしれませんが、きちんと身体の時計に合わせて食事をすることこそ、シンプルかつ最高に効果的な体脂肪コントロール法なのです。
ただし、シンプルで効果的な方法ほど、継続が必要です。3か月ほどは続けて効果をみてくださいね。
〈参考文献〉
榛葉繁紀(監修)「太らない時間に食べる!体内時計ダイエット」マガジンハウス(2010)
永井成美、坂根直樹、森谷敏夫 「朝食欠食, マクロニュートリエントバランスが若年健常者の食後血糖値, 満腹感, エネルギー消費量, および自律神経活動へ及ぼす影響」糖尿病 48 (11),761-70(2005)
Ma Y et al. Am J Epidemiol 158:85-92(2003)
吉田桃子
日本体育大学卒業後、二葉栄養専門学校にて栄養士免許取得。保育園勤務を経て、管理栄養士免許を取得。アスリートのサポートから、保育園の献立作成・食育・衛生指導・セミナー講師・個人の栄養カウンセリングやプライベートトレーニングジムへの栄養アドバイザーなどを手掛けている。自らも2年前まで、女子フットサルのトップリーグの選手としてプレー。