#80 「寄り添い型」を現場で本当に機能させるために個別最適化を「実装」して見えてきたこと
皆さんこんにちは。
株式会社グリスタ代表取締役の斎藤です。
先週のプレスリリースでもご紹介しましたが、
私たちはこれまで、「一人ひとりに合ったヘルスケアを当たり前にする」ことを目指し、
遺伝子情報を活用した個別最適化の仕組みを、事業として実装してきました。
代表として最終的な責任を持つ立場から見ると、個別化は単なる思想や理想論では成立せず
運用・現場設計・継続まで含めて初めて意味を持つものだと感じています。
本コラムでは、その実装の過程で見えてきたことを整理してお伝えします。
個別化は、特別な価値ではなくなりつつある
ヘルスケアやフィットネスの領域では、「パーソナライズ」「一人ひとりに寄り添う」といった言葉が
以前から使われてきました。
一方で、私たちが現場で感じているのは、
個別化が“差別化のための付加価値”ではなく、運営の前提条件になり始めているという変化です。
利用者の価値観が多様化し、一律の提案や一般論だけでは「自分に合っている」と
感じてもらいにくくなっています。
この変化は、事業者側の姿勢や設計にも影響を与え始めていると感じています。
IDENSILが目指しているのは「答えを出すこと」ではない
私たちが提供している個別最適化プラットフォームであるIDENSIL(イデンシル)は、
遺伝子情報を活用して体質傾向を可視化する仕組みです。
ただ、ここで強調しておきたいのは、遺伝子情報が正解を示すわけではないという点です。
私たちは、遺伝子情報を
「この人はどんな特徴を持ちやすいのか」
「どんなアプローチが合いやすいのか」
を考えるための 共通言語 として捉えています。
体質傾向を共有することで、利用者と現場スタッフが同じ前提で会話できる。
その土台をつくることが、IDENSILの役割です。
「測って終わり」にしないための設計
今回、スポーツクラブNAS様とご一緒した取り組みでは、個別最適化を「構想」ではなく
運営の中で使える形として実装することを重視しました。
体質傾向を把握し、それをもとに運動との向き合い方を整理する。
そして、その情報を現場での会話やサポートに活かしていく。
この流れがあることで、体質情報は単なるデータではなく、
「自分に合った取り組みを理解するための材料」になります。
測定で終わらせず、行動や継続につなげていく。
この設計がなければ、個別化は現場に根づきません。
「自分に合っている」と感じられることが、継続を支える
私たちが多くの現場で実感してきたのは、
人は「正しい情報」だけでは、必ずしも行動を変えないということです。
一方で、
- なぜこの方法なのか
- なぜ自分にはこれが合いそうなのか
といった点が腑に落ちたとき、運動や生活習慣との向き合い方は、自然と前向きになります。
個別最適化の価値は、結果を保証することではなく、
納得感を持って続けられる状態をつくることにあると、代表として改めて感じています。
実装して見えてきたこと
今回の取り組みを通じて、私たちは改めて次のことを実感しました。
- 個別化は、特別な人のためのものではない
- テクノロジーは、現場の負担を増やすものではない
- 寄り添いは、感覚ではなく仕組みで支えられる
これらは理論ではなく、実際に運用する中で確認できた感覚です。
代表として、これから目指したいこと
事業全体を見ていると、ヘルスケアにおける個別化は「新しい価値をつくるための手段」から、
一人ひとりの違いを前提に運営するための基盤へと位置づけが変わりつつあると感じています。
私たちグリスタは、個別化を難しいものにするのではなく、
現場で会話が生まれ、自然に続いていく形で実装していきたいと考えています。
今回の取り組みも、その一つの過程です。
これからも、実装する立場としての責任を持ちながら、
現場に根づくヘルスケアのあり方を模索し続けていきます。
参考情報
※ 本コラムで触れている取り組みについては、以下でもご紹介しています。
- スポーツクラブNAS様との取り組み(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000033424.html - スポーツクラブNAS 公式サイト
https://www.nas-club.co.jp/
株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利
1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。



