IDENSIL活用事例紹介#9_ 一般社団法人アスリート育成センター様
みなさま、こんにちは。
今回は、熊本県の有明高校野球部で高校生アスリートの育成をサポートする、
一般社団法人アスリート育成センター代表・橋本様にお話を伺いました。
有明高校野球部では、弊社サービス「IDENSIL(イデンシル)」を基にした、
野球専用プログラム「MyBASE」を導入し、選手一人ひとりの体質データをもとにトレーニングを個別最適化。
科学的根拠に基づいた指導で、パフォーマンス向上と怪我予防の両立を実現しています。
外部トレーナーとして橋本様がチームとともに築き上げた、“データを活かす文化”。
今回は、その取り組みの背景と成果、そして現場の声を伺いました。
橋本様
IDENSIL活用事例紹介 #2|ONE STEP様(現:一般社団法人アスリート育成センター様)
(導入から2年で九州大会初優勝を果たした当時の取材記事)
導入の背景|「理解して鍛える」新しい高校野球のかたち
グリスタ:
改めてIDENSIL導入のきっかけを教えてください。
橋本様:
同じトレーニングをしても成果に差が出ることに疑問を感じていました。その違いは努力の量だけでなく、
体質的な部分にもあるのではないかと考えたのが始まりです。
IDENSILを導入してからは、筋線維タイプや瞬発力・持久力といった特徴が数値で“見える化”しました。
それにより、「どこを伸ばし、どこを補うか」が明確になり、選手も自分の体を理解して練習に臨めるようになりました。
体質を知って終わりにするのではなく、どう生かすかが重要だと感じています。
トレーニング設計|体質データによる個別最適化の実践
グリスタ:
体質データは、どのようにトレーニングへ反映されているのでしょうか?
橋本様:
IDENSILの結果をもとに、選手を「速筋型」「遅筋型」「バランス型」の3グループに分類し、
グループごとにメニューを最適化しています。
たとえば、速筋型の選手にはスクワットの立ち上がり動作を強化。
遅筋型の選手には、重量を上げすぎず回数を増やし、呼吸が上がった状態からさらにもう1セット頑張る、
といった調整を行っています。
トレーニングルームにはグループ別の“意識ポイント”を掲示し、
「速筋型は動作のキレ」「遅筋型はフォームと呼吸」といった、それぞれの特徴に合わせた意識づけを行っています。
練習前には選手同士が「今日はここを意識しよう」と声を掛け合う光景も定着し、
個々の体質に合わせた練習をチーム全体で共有する文化が根づきました。
さらに、月1回実施するウエイトトレーニングの測定結果を一覧化し、グループごとに平均値と伸び率を算出しています。
これらのデータをグループごとに色分けして可視化することで、監督・コーチ・選手が同じ目線で
成長を確認できるようになりました。
この仕組みは、単なる数値管理にとどまらず、チーム全体のモチベーションを高める仕掛けとして機能しています。

(左から)
トレーニング室内に掲示されたグループ別の“意識ポイント”
体質データをもとに、自分に合った練習を考える選手
グループ別メニューで行う日々のトレーニング風景
チームの変化|データを“使いこなす”チーム文化へ
グリスタ:
導入してから、チーム全体にはどんな変化がありましたか?
中野部長(有明高校):
導入当初は「本当に必要なのか」という不安もありましたが、橋本さんの丁寧な説明で理解が進み、
今では「やるのが当たり前」になりました。選手が自分の体を客観的に見られるようになり、
怪我を防ぐ意識が確実に高まりました。
西コーチ(有明高校):
選手は「自分の結果を見て、だからこの練習をしているんだ」と理解できるようになりました。
トレーニング日誌にも“自分の体に合った練習を考える”姿勢が表れています。
血液検査とも連動し、トレーニング・栄養・コンディショニングをつなげた一体的な指導が可能になりました。
橋本様:
先生方の協力があってこそ、この仕組みが継続できています。
たとえば、筋肥大や増量を課題とする選手に対しては、検査結果をもとに、
選手ごとにプロテインと糖質(デキストリン)の最適な摂取比率を算出。
その比率をまとめた資料を部長やコーチに共有し、トレーニング時の補食に活かしてもらっています。
その結果、大会期間中でも体重が落ちにくくなり、コンディションが安定しました。

(左から)弊社代表・斎藤/有明高校野球部 西コーチ、中野部長
チームの意識改革|“やらされる練習”から“自分で選ぶ練習”へ
グリスタ:
体質データの活用は、選手や指導者の意識にも変化をもたらしましたか?
橋本様:
体質を理解することで、選手の意識は大きく変わりました。
以前は言われたメニューをこなすだけでしたが、今では「自分にはこれが必要」と目的を持って取り組むようになりました。
食事や休養の取り方も変化し、筋分解しやすいタイプはタンパク質を意識したり、
疲労しやすいタイプは睡眠を重視するなど、セルフマネジメントが浸透しています。
中野部長:
導入から7年、今では入部時点で「遺伝子検査を受けるのが当たり前」。
体質を知ることは“良し悪し”ではなく“自分の取扱説明書を知ること”として、選手にも理解が広がりました。
西コーチ:
選手も「体質は個性であり、評価ではない」と前向きに受け止めています。
この“理解して受け入れる”姿勢が、チームの一体感を生み出しています。
今後の展望|データで支える「努力の最適化」とスポーツ教育の進化
グリスタ:
今後の展開について教えてください。
橋本様:
今は、データを使わずに指導するのはもったいない時代だと感じています。
体質データを共有することで、選手・指導者が同じ目線で話し合えるようになり、
信頼関係を深めながら成長できる環境が整いました。
今後は、有明高校での実践をもとに、他でも活かす展開を視野に入れています。
目指しているのは、才能の発掘ではなく「努力の最適化」。誰もが自分の体を理解し、
無理なく力を伸ばせる仕組みを広げていきたいです。
まとめ|体質データが導く「再現性のある指導」と「信頼できるチームづくり」
有明高校野球部の取り組みは、遺伝子解析を「結果を知るため」ではなく、
選手の意識と行動を変えるための指導ツールとして活用した好例です。
体質データを通して自分の強みや課題を理解し、その“気づき”を日々のトレーニングや生活習慣に生かすことで、
チーム全体の成長が可視化され、指導者と選手の信頼関係も深まっているところを目の当たりにし、
学生さんたちの素晴らしい成長を肌で感じることができました。
今後も、データを「努力の最適化」と「教育の進化」へとつなげる取り組みとして、
より多くの現場で活用して頂けるようなサポートを行ってまいります。
橋本様をはじめ、有明高校の皆さま、貴重なお話をありがとうございました。
次回の導入事例も、ぜひお楽しみに。
今日のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社グリスタは個別化ヘルスケアに特化した遺伝子分析サービス「IDENSIL(イデンシル)」の開発メーカーです。
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