#67 女性の「変化」を支える企業へ──ライフステージ支援と個別化ヘルスケアという新しい福利厚生のかたち
皆さんこんにちは。
今回は「女性に向けた福利厚生のかたち」をテーマにお送りします。
日本で初めて女性の総理大臣が誕生しましたね。
「女性のリーダーシップ」「多様なキャリアの実現」に注目が集まる中、
企業にも“女性がより自分らしく働き続けられる環境づくり”がこれまで以上に求められています。
一方で、現場では依然として、月経周期やホルモン変動、妊娠・出産、更年期といった
ライフステージの変化に伴う体調課題が、キャリア継続やパフォーマンスに影響を及ぼしています。
今こそ必要なのは、女性の変化を「特別なこと」として扱うのではなく、
“当たり前のこと”として支える企業文化です。
その実現のきっかけとして是非考えて頂きたいのが、科学的データを活用した
「個別化ヘルスケア」です。
その人らしい健康を支援する新しいアプローチ
従来の健康施策は、全社員に同じ情報を届ける“一律型”が中心でした。
しかし、ホルモン反応や代謝、ストレス耐性、睡眠リズムといった生理的特徴は人それぞれ。
画一的なプログラムでは、かえって「自分ごと化」が難しくなります。
そこで活用可能なのが、データをもとに一人ひとりの体質や生活リズムに合わせて健康支援を行う
「個別化ヘルスケア」です。
たとえば、睡眠の質を可視化して改善提案を行うアプリ、
ストレスやホルモンの傾向に基づいて運動アドバイスを提供するプログラムなどです。
こうした取り組みは、医療ではなく“日常のセルフマネジメント支援”として導入できるのが特徴です。
自分の体の特徴を理解し、行動に落とし込むことで、
ストレス軽減・集中力向上・生産性の安定化といった効果が期待できます。
福利厚生が「行動支援」の場になる
個別化ヘルスケアの目的は、体調を測ることではなく、行動を変えることです。
検査データやライフログをもとに、自分の傾向を理解し、
「どうすればもっと快適に働けるか」を、自分で選択できるようにする。
企業がそのサポートをすることで、福利厚生が“自分の生活に直結する場”へと変わります。
たとえば、ストレス耐性が低めの傾向がある人にはマインドフルネス研修を、
代謝タイプに合わせて食事プログラムや社食メニューをカスタマイズするなど、
個性に寄り添った支援設計が可能になります。
こうした仕組みは、従業員が「会社に理解されている」と感じることで、
心理的安全性やエンゲージメントを高める効果もあるのではないでしょうか。
女性のライフステージを“前提”にした制度設計を
女性の健康課題は、年齢や環境によって大きく変化します。
20代ではPMSや肌トラブル、30代では妊娠・出産期、40代以降ではホルモンバランスの変動や睡眠の質の変化など、
悩みながら、痛みを我慢しながら、お仕事をされている方も多いと聞きます。
こうした変化に合わせて支援を柔軟に変えられるのが、個別化ヘルスケアの強みです。
たとえば、
- 育児中の従業員に「睡眠リズム改善サポート」
- 更年期を迎える社員に「ホルモン変化に合わせた栄養プログラム」
- 若手社員に「ストレス耐性・メンタルセルフケア講座」
といった形で、一人ひとりのライフステージに寄り添う福利厚生を展開できます。
結果として、体調不良による欠勤の減少や離職率の低下、
そして“働きやすさ”の向上が期待できます。
信頼を生む、データとプライバシーの扱い方
個別化ヘルスケアを導入するうえで重要なのが、プライバシーへの配慮です。
データはあくまで本人のものであり、企業は“提供者”ではなく“支援者”の立場に立つこと。
本人の同意を前提とし、結果を共有しない仕組みを整えることが信頼を生みます。
また、導入目的を明確にし、「健康を守る」「働きやすさを高める」という意図を丁寧に伝えることが、
安心感と参加意欲を高めるポイントです。
女性躍進の時代に、ウェルビーイングを企業文化に
女性初の総理誕生は、日本社会にとって“象徴的な節目”です。
政治・経済・企業、それぞれの現場で、女性が力を発揮できる環境づくりが
改めて問われるきっかけになるのではないでしょうか。
企業にできることは、制度を整えるだけではありません。
「女性が自分の体と向き合い、自分らしく働ける環境を用意する」こと。
個別化ヘルスケアを軸にした福利厚生は、その実現を後押しする有力な選択肢です。
科学的データに基づいたパーソナル支援を通じて、
一人ひとりの健康とキャリアをつなぐ仕組みをつくることが、
これからの“女性躍進時代”の企業の新しいスタンダードになるのではないでしょうか。
今日のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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