#66 「体質理解」が武器になる──拡大する市場規模が示すフィットネスの進化論
皆さんこんにちは。
今回は「遺伝子検査とフィットネス産業の変遷と将来像」をテーマにお送りします。
フィットネス業界の進化とヘルスケア市場の成長
日本のフィットネス市場は、1990年代に健康意識の高まりとともに本格的な拡大期を迎え、2000年代にはジムやスポーツクラブが各地に普及しました。近年は24時間営業のジムや、目的特化型のスタジオ、パーソナルトレーニングなどが登場し、利用者のニーズに合わせた「多様化・個別化」が加速しています。
一方、経済産業省の推計によると、ヘルスケア産業のうち、健康保持・増進に働きかけるものは2020年時点で約18.5兆円。2030年には31兆円、2050年には60兆円に達する見込みとされており、人口減少と高齢化、そして健康寿命の延伸が重要視される日本において、フィットネス業界が果たす役割は今後ますます大きくなると考えられます。(引用:経済産業省)
遺伝子分析産業の変遷:研究から日常へ
かつて遺伝子分析は、専門の研究機関や大学病院などに限られた、高度で高額なサービスでした。しかし、検査技術等の進歩により、遺伝子の読み取りコストは飛躍的に低下。2010年代には欧米を中心に消費者向け遺伝子検査サービスが広まり、日本でも徐々に認知され始めました。
世界の遺伝子検査市場は2032年には330億米ドル以上に達するとも言われており、とくに“医療以外”の領域、すなわち健康支援や美容、フィットネスなどのパーソナルヘルス分野における活用が注目されています。
つまり、フィットネス産業が「一律から個別へ」と進化してきたのと同様に、遺伝子分析も「研究から日常へ」とシフトしてきたと言えるのではないでしょうか。
体質理解から始まる、継続可能なアプローチ
現在、フィットネスサービスの差別化要素として注目されているのが、「自分の体質を理解したうえで取り組む」健康行動です。筋肉のタイプ、疲労回復の傾向、代謝の特徴といった遺伝的体質の情報を、トレーニングメニュー設計やコンディショニングの参考にすることは、利用者にとっても大きな“納得感”をもたらします。
たとえば、「なぜこの運動が合うのか」「どうしてこの栄養指導なのか」といった理由が、個人の体質傾向とつながって説明できれば、行動の継続にも良い影響が期待されます。
情報提供の質が、信頼をつくる
一方で、こうした体質情報の活用には丁寧な情報提供が不可欠です。誤って医療的な“診断”と捉えられないように配慮しながら、「遺伝的傾向の参考としての活用」であることを正しく伝える姿勢が、顧客との信頼関係構築には重要です。
遺伝子という視点を取り入れることで、フィットネスサービスはより「自分に合っている」と感じてもらえる方向へと進化しつつあります。顧客にとっても、フィットネスが“自分を知る場”となることで、より深い満足感と意義を感じる機会となるのではないでしょうか。
今日のIDENSIL情報局は以上です。
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