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#54 活用するとどう変わる?ヘルスケア事業者の目線で見た遺伝子検査とは

皆さんこんにちは。

今回は「ヘルスケア事業者目線で見た遺伝子検査」をテーマにお伝えします。

 

「遺伝子検査」と聞くと、難しそうで自社のサービスには活かしにくいのでは——。そう感じるヘルスケア事業者も少なくありません。一方で、個人の体質をもとにしたパーソナライズドケアへのニーズは年々高まっており、事業としての差別化・信頼性向上に有効なアプローチとして注目されています。
では、実際に導入するとどのような変化が起こるのでしょうか。ヘルスケア事業者の既存サービスとの整合性や導入効果について、現場視点で整理していきます。

 

「これまでの指導が否定されるのでは?」という誤解

遺伝子検査の導入を検討する際にたまに聞かれるのが、「今までのやり方と矛盾しないか」「自分がやってきた指導が否定されてしまうのでは」という不安です。

遺伝子情報が示すのは、“その人がどんな遺伝的な体質傾向を持っているか”という追加情報です。つまり、これまでの汎用的な指導に「より注目すべきポイント」が加わるイメージです。

たとえば、遺伝的傾向が「速筋傾向」で、さらにより速筋を鍛えたい方には、回数よりも質に注目したトレーニングメニューや効率的なプロテイン摂取の提案ができるかもしれませんし、「骨へのアプローチが他の人よりも必要」という遺伝的傾向をお持ちの方には、若いうちからのカルシウムやビタミンD摂取に気をつけることや、定期チェックの必要性を伝えやすくなるかもしれません。

「筋トレと栄養で筋肉がつく」「カルシウムは骨に大切」といった健康指導の原則はこれまで通り行って、補足情報が増えることで、優先順位を再考したり“その人により響く指導”が可能になるのです。

 

エビデンスのあるパーソナライズが、事業の信頼性を高める

近年、ヘルスケア分野では“パーソナライズド”という言葉が頻繁に使われるようになっています。しかし、感覚的な分類や簡易アンケートの結果をもとにしたプランでは、限界が見えてきています。

その点、遺伝子情報は研究の積み重ねにより、特定の体質傾向や機能との関係が科学的に示されてきています。診断ツールではなく、あくまで「生まれ持った遺伝的体質傾向」なので、体組成情報や生活・環境要因などと並ぶ情報のひとつとして扱う必要がありますが、一定の根拠に基づいたパーソナライズは、顧客からの納得感・安心感に繋がります。

さらに、これまで言語化しづらかった「なぜこの指導を選んだのか?」という説明も、体質情報に基づいて伝えることで、個別対応の説得力が増しますよね。

 

サービスの“深さ”が広がることで、LTVやリピートにも貢献

遺伝子検査の導入は、「顧客の理解を深めるための仕組み」として活用されることが多くあります。たとえば、カウンセリング時に体質傾向を共有することで、信頼関係が築けたり、指導のゴール設定が具体的になるという効果もあります。

また、体質情報は原則として一生変わらないため、1回の検査で長期的なフォローに活かせるという点もメリットです。「今回は筋トレに活かす、次回は睡眠や食事に」というように、継続的なサービス展開のベースとして活用できるため、LTV(顧客生涯価値)の向上やリピート率の改善にも寄与することが期待できます。

 

“寄り添うプロ”としての新たな一歩を

ヘルスケアに敏感な現代の消費者にとって、遺伝子検査は新しい価値提供の鍵になる可能性を秘めています。
決して、従来のやり方を否定するものではなく、むしろ“目の前の一人ひとりにもっと寄り添う”ための補助ツールです。事実、トレーナー、管理栄養士、スポーツドクター、理学療法士、治療院など、幅広い分野の専門家が遺伝子情報を活用し、パーソナライズドなサービスを展開しています。

ヘルスケア事業者としてのサービスの幅を広げるきっかけとして、柔軟に取り入れてみてはいかがでしょうか。

今日のIDENSIL情報局は以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

株式会社グリスタは個別化ヘルスケアに特化した遺伝子分析サービス「IDENSIL」の開発メーカーです。

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株式会社グリスタが運営する、遺伝子情報を正しく活用するための メディアです。 ※IDENSILは、健康な方を対象に遺伝的傾向を把握するためのヘルスケアツールであり、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。本コラムでも医療用の遺伝子検査ではなく、ヘルスケア分野での利活用に限定して紹介しています。

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