食べて脳と骨質をまもりましょう
こんにちは。栄養士の蓬田味夏です。
IDENSILには血管・血圧に関する項目があります。
今回は血管・血圧に関する遺伝子「MTHFR」ついてのお話です。
MTHFR遺伝子にリスクがあると、血漿ホモシステイン濃度が上がりやすく、血管が硬くなりやすくなる傾向があります。
ホモシステインとは?
「ホモシステイン」とはからだの中でつくられるアミノ酸なのですが、
血中のホモシステインが増えすぎてしまうと血管を傷つけて、動脈硬化症や血栓症、脳梗塞をまねく恐れがあります。
また、骨の質に関わるコラーゲンを弱くしてしまいます。
骨は骨密度(骨の強さ)、と骨質(骨のしなやかさ)どちらも強くなければいけません。
骨質が弱いと、骨密度が強いのに骨折してしまうこともあるのです。
ホモシステインの濃度を上げないために
遺伝子リスクがあったからといって「将来病気になってしまうのでは?」とは思わないでください。
私たちの現在の体は遺伝的要因と、運動・栄養・生活習慣などの環境的要因によって成り立っています。
つまり日々の生活も大きく体に影響するのです。食事や運動、生活習慣に気をつけることでリスクを減らしていけばいいのです。
ホモシステイン濃度が上がる原因として、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12不足があります。
ではどんな食品に含まれているか見てみましょう。
葉酸
最近よく耳にするかもしれませんが、ビタミンの仲間です。
健康的な食生活を送っていればあまり不足はしませんが、お酒(アルコール)をたくさん飲む方、たばこを吸う方、妊娠中の方は不足しがちです。
- レバー(鶏、牛、豚)
一食で軽く一日の目安量をとれます。
ただしビタミンAもかなり多いので妊娠中の方は注意が必要です。
- 納豆、豆製品
きなこや豆乳にも含まれますが、納豆が一食の量としては一番多く摂れます。
- ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、菜の花など
葉酸は水溶性ビタミンですので水に溶けやすいです。また熱にも弱いので、ささっと短時間で炒めたり、レンジで加熱すると多く摂ることができます。
ほかにも、お茶やのりなどの海藻類、ドライマンゴーなどにも多く含まれているので食事やデザートに添えてもいいですね。
ビタミンB6
水溶性ビタミンの仲間で、たんぱく質からからだをつくる役割をしています。
肌の健康にも関わるビタミンです。
睡眠にも影響を与える「セロトニン」や免疫物質「免疫グロブリン」をつくるので積極的にとりたい栄養素です。
- 牛レバー、鶏ささみ、まぐろ、かつお、さば、いわしなど
魚はお刺身で食べれば、調理による損失が少ないので効率よく摂ることができます。
ただしまぐろは水銀量が多いので妊娠中の方は控えたほうがいいでしょう。
- バナナ
手軽に食べられるのが嬉しいですね。
セロトニン合成には「トリプトファン」が必要になります。
トリプトファンは乳製品に含まれているので牛乳やヨーグルトと一緒に朝摂るのをおすすめします。
ビタミンB12
赤色をした水溶性ビタミンになります。
葉酸と一緒に血をつくっていくので貧血予防にもなります。
- レバー(牛、豚、鶏)
葉酸と一緒に摂るといいので、両方が多く含まれるレバーは効率がいいですね。
- かき、しじみ、あさりなどの貝類、いわし、さばなど
缶詰にも多く含まれているので簡単に摂ることができます。
水溶性ビタミンは体内に貯めておくことができないので、こまめに摂っていくといいでしょう。
食事でおいしく健康に!
葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、どれも大切な栄養素ですが、食べることが難しいものではありません。
ぜひ食事に取り入れてください。
おいしく食べて、血管や脳、骨を守っていきましょう!
【参考文献】
鏑木淳一「骨血管相関における血清総ホモシステイン濃度測定の臨床的意義」J-STAGE
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

蓬田味夏
「みんなのからだはみんなが食べたものでできているんだよ」 「野菜も好きになってたくさん食べようね」 子ども達には言っているけど大人がやっていない事、案外多いと思います。 『自分が食べたもので自分の体はできている』 明日、一ヵ月、一年後の自分のためにちょっとやってみようかな、そのきっかけになれるよう、楽しく、わかりやすい栄養の情報をお伝えしていきます。