骨は密度だけじゃない(1/2)
こんにちは。栄養士の蓬田味夏です。
健康の話をする時、骨密度の話をすることはありませんか?
「骨密度が高くて強いから骨折しない!」とおっしゃる方、骨は密度だけでは強いとはいえないのです。
骨は骨密度と骨質で強くなる!
骨と聞くと、カルシウムがギュッと詰まったイメージがありますが、内部はとても細かくできていて、しなやかさもあります。血管も神経も通っています。
中心はスポンジのような構造で空洞部分には血液のもとである骨髄で満たされています。
骨は「硬さ」と「しなやかさ」が必要です。
「硬さ」が骨密度になります。主にカルシウムなどでできています。
では「しなやかさ」は?これが「骨質」と呼ばれるものになります。
骨質は色々な要因によって決まるのですが、そのひとつがコラーゲンになります。
骨を鉄筋コンクリートビルに例えてみましょう。
鉄筋→「コラーゲン(骨質)」など
コンクリート→「カルシウム(骨密度)」などになります。
鉄筋がしっかり組まれていると、地震にも耐えられるしなやかで強い建物になりますね。
鉄筋が劣化していたり、しっかり組まれていなければ、いくらコンクリートで塗り固めても強い建物とはいえません。
もちろんしっかりと硬いコンクリートでなければ、もろく、壊れやすい建物になってしまいます。
どちらもしっかりしていなければ強いとはいえないのです。
「骨密度」と「骨質」に関わる遺伝子タイプ
IDENSILにある骨・軟骨・関節の項目では、骨密度が低下しやすい体質なのか、骨のコラーゲンが劣化しやすい対異質なのか、自身の体質を知ることができます。
この遺伝子にリスクを持っているからといって、「自分は将来、骨が弱くなってしまう!」とは思わないでください。
今のあなたの体は、遺伝的要因と、運動・栄養・生活習慣などの環境的要因によって成り立っています。つまり今の体を知り、日々の生活に気をつけることで、未来のあなたの体の健康の維持・促進は可能なのです。
もちろんリスクがない方も油断をしていれば大いに危険性があるということです。
自分の体質を知って、より意識をもって生活習慣に反映させてください。
「骨密度」アップするには?
まずは「カルシウム」をとることです。
カルシウムは牛乳などの乳製品、骨ごと食べられる魚、大豆や豆腐などの豆類、小松菜や大根の葉などにも多く含まれます。
そして「ビタミンD」も重要な役目を担っています。
カルシウムの体内への吸収促進や骨の形成などに関わっており、なくてはならないのです。
ビタミンDは食べ物から摂取するだけでなく「紫外線」を浴びることでも生成されます。
ただ紫外線は肌や目などに悪影響もあたえるので日光浴はほどほどにしておきましょう。
食品では、いわし、うなぎ、鮭、しらす干しなどの魚や干ししいたけ、乾燥きくらげなどにビタミンDが多く含まれます。
しらす干し、煮干し、いわしの丸干しや缶詰など、カルシウムも多く、ビタミンDも多い魚も多くあります。同時に摂れる嬉しい食材です。
最近はスーパーなどでも調理済みのお惣菜が販売されていますし、缶詰の種類も豊富です。魚の調理に自信がなくても心配いりません。
この続きは次回のコラムでご紹介します。
骨質を上げる方法などをお話ししていきますのでお楽しみに。
【参考文献】
日本食品標準成分表2015年版(七訂)
国立研究開発法人 国立環境研究所「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」

蓬田味夏
「みんなのからだはみんなが食べたものでできているんだよ」 「野菜も好きになってたくさん食べようね」 子ども達には言っているけど大人がやっていない事、案外多いと思います。 『自分が食べたもので自分の体はできている』 明日、一ヵ月、一年後の自分のためにちょっとやってみようかな、そのきっかけになれるよう、楽しく、わかりやすい栄養の情報をお伝えしていきます。