#99 健康経営はなぜ機能しなくなるのか?―形骸化を防ぐために必要な視点とは
【この記事の3行まとめ】
・健康経営は導入しても「実際の行動につながらない」ことで形骸化しやすい
・背景には「ニーズとのズレ」と「画一的な施策設計」があると考えられる
・個別最適化の視点が、健康経営を機能させる鍵になる可能性がある
皆さんこんにちは。
株式会社グリスタ 管理栄養士の根岸です。
今回は、「健康経営はなぜ機能しなくなるのか」をテーマにお送りします。
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、
戦略的に実践していく取り組みです。
健康経営は国としても推進している取り組みであり、
経済産業省による認定制度などを通じて、その重要性が広く示されています。
従業員の健康に投資することで、
・生産性の向上
・組織の活性化
などにつながり、結果として企業価値の向上にも寄与すると考えられています。
近年では、採用や企業イメージの観点からも注目されており、多くの企業が取り組みを進めています。
一方で現場では、
「制度や取り組みはあるが、あまり活用されていない」
「導入したものの、変化が見えにくい」
といった声が聞かれることもあります。
このように、取り組みとしては存在しているものの、十分に機能していない状態は、
いわゆる“形骸化”と言えるかもしれません。
取り組みはあるが「行動につながらない」という実態
健康経営の具体的な施策としては、
・健康診断の実施
・運動機会の提供
・食事改善の支援
・セミナーや情報提供
などが挙げられます。
しかし、こうした取り組みがあっても、必ずしも従業員の行動変容につながるとは限りません。
例えば、
「内容は理解しているが実践できていない」
「興味はあるが、継続できない」
「自分ごととして考えられない」
といった状態にとどまるケースも多く見られます。
健康経営が形骸化する主な理由
こうした状況の背景には、いくつかの要因があると考えられます。
① ニーズとのズレ
企業側が「健康に良い」と考えて提供している施策であっても、従業員にとっては
・今の自分には必要性を感じにくい
・生活に取り入れにくい
・優先順位が高くない
と感じられる場合があります。
例えば、運動プログラムを用意しても、
・忙しくて時間が取れない
・運動習慣がなくてどのように取り組めばいいかわからない
・そもそも関心が持てない
といった理由で、参加につながらないこともあります。
② 画一的な施策設計
もう一つの要因として、「全員に同じ施策を提供する」という前提があります。
しかし実際には、
・年齢
・ライフスタイル
・健康状態
・価値観
は人それぞれ異なります。
そのような中で一律の施策を提供すると、
「誰にとっても当てはまりにくい内容」になってしまう可能性があります。
結果として、取り組みが広く浸透せず、形だけが残ってしまうのではないでしょうか。
健康施策が難しい理由
健康に関する取り組みは、特に設計が難しい領域です。
その理由として、
・効果が短期的に見えにくい
・継続が必要になる
・個人差が大きい
といった特徴が挙げられます。
同じ取り組みであっても、すべての人に同じ変化が現れるとは限りません。
そのため健康施策は、個人ごとに最適化されることが望ましい領域ともいえるかもしれません。
健康経営を機能させるための視点
では、健康経営を「実際に機能する取り組み」にするためには、どのような視点が必要なのでしょうか。
一つの重要なポイントは、施策の設計を見直すことです。
従来は、
・施策を用意する
・あとは各自の判断で取り組んでもらう
という形が多く見られました。
しかしこの方法では、行動が個人任せになり、結果として
継続や定着につながりにくくなる可能性があります。
そのため、
・誰に
・どのような状態を目指して
・どのように行動につなげるか
までを含めて設計することが重要になるのではないでしょうか。
個別最適化という考え方
その中で注目されているひとつが、個別最適化(パーソナライズ)という視点です。
例えば、
・悩み
・目標
・生活習慣
・健康状態
・体質情報
などといった情報に加え、トレーナーや管理栄養士などの
専門家の知見を組み合わせることで、より現実的で実行しやすい
取り組みにつながる可能性があります。
また、ヘルスケアのそのため健康施策は、専門家が関与することで、
一人ひとりに合わせたサポート設計が可能になります。
こうした仕組みによって、
「自分に合っている」
「取り組む意味がある」
と感じられることで、当事者ごとになり、その後の行動につながりやすくなることも考えられます。
まとめ
健康経営は、企業と従業員双方にとって重要な取り組みです。
しかし、
・ニーズとのズレ
・画一的な施策設計
などによって、十分に機能しないケースも見られます。
これからの健康経営においては、
「施策を導入すること」だけでなく、
「実際の行動につながるかどうか」までを見据えた設計が重要になるのかもしれません。
取り組みを形だけのものにしないためにも、自社の健康経営が
どのように活用されているかを見直してみることが、一つのヒントになると考えられます。
今日のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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IDENSIL管理栄養士 根岸
IDENSIL(株式会社グリスタ)に所属している管理栄養士の根岸です。 遺伝子活用と栄養に関する情報をお伝えしていきます。 ※IDENSILは、健康な方を対象に遺伝的傾向を把握するためのヘルスケアツールであり、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。本コラムでも医療用の遺伝子検査ではなく、ヘルスケア分野での利活用に限定して紹介しています。



