#91「みんなと同じ」から「自分だけの健康」へ ―ヘルスケアサービスに対するエンドユーザー意識の変化とは
【この記事の3行まとめ】
・ヘルスケアにおける価値観は「みんなと同じ」から「自分に合った方法」へと変化している
・体組成情報や遺伝子情報といったデータ活用が、個別最適化を現実的な選択肢にした
・今後のヘルスケア事業者には「個別化をどう実装するか」が問われている
皆さんこんにちは。
株式会社グリスタ 管理栄養士の根岸です。
今回は、「ヘルスケアサービスに対するエンドユーザーの意識変化」をテーマにお送りします。
少し前まで、健康やダイエットの世界では、
・流行しているトレーニング
・話題のダイエット法
・有名人が実践している健康法
といった、“みんながやっている方法”が選ばれる傾向がありました。
「流行っている=正解に近い」というような空気があったように思います。
テレビで取り上げられたダイエットアイテムや健康食品が翌日店頭から消える、なんてこともありましたよね。
しかし最近、ヘルスケアの現場でエンドユーザーから出てくる言葉として、こんな変化がみられているのではないでしょうか。
「私には何が合っていますか?」
「今の体の状態に合った方法を知りたいです」
つまり、関心は「正解の方法」ではなく、「自分にとっての最適解」へと移っているのです。
なぜ意識が変わったのか
この変化の背景にはいくつかの要因がありますが、そのひとつとしてデータの可視化があります。
体組成計やウェアラブルデバイスの普及により、
・体脂肪率
・筋肉量
・睡眠時間
・心拍数
といった情報が、日常的に数値で確認できるようになりました。
これにより、多くの人が「自分と他人は違う」ということを改めて実感し始めています。
さらに近年、遺伝子研究の進展により、体質の違いも説明可能な領域が広がりました。
筋線維組成の傾向、代謝酵素の働き、ホルモン受容体の違いなど、
体質の背景にある要因が少しずつ明らかになっています。
こういったデータが活用されることは、「個別最適化」を推進していると考えています。
ただし、“個別化”はデータだけでは完結しない
一方で、「個別化」という言葉が広がるほど、注意が必要な点もあります。
近年は、体組成データやライフログ、遺伝子情報など、多くの情報が簡単に取得できるようになりました。
これらは、ヘルスケア事業者がサービスを提供するうえで、とても重要な情報ですよね。
しかし、データが増えたことと、最適な支援ができることはイコールではありません。
数値はあくまでひとつの側面です。
そこには、生活背景、価値観、目的や得たい結果といった“データで計測できない要素”が存在します。
また、個別化という言葉が独り歩きすると、
・データだけで正解が導き出せる
・数値に従えば必ず成果が出る
という誤解も生まれかねません。
重要なのは、「データがあること」ではなく、「どう解釈し、どう活かすか」です。
個別化は、データだけで完結するものではありません。
ヘルスケアの専門家のノウハウと組み合わせて初めて意味を持ちます。
「自分だけの健康」をどう実装するか
エンドユーザーの意識は、確実に変化しています。
✔ みんなと同じ方法ではなく
✔ 確かな情報の裏付けを背景に
✔ 自分に合ったプログラムを受けたい
というニーズです。
しかし、それを実装するには設計が必要です。
・専門性を言語化する
・判断基準を共有する
・支援プロセスを仕組み化する
・データを“翻訳”して具体的な行動提案に落とす
ここがヘルスケア事業者に求められる視点になります。
個別化とは、「特別扱いをすること」ではなく、再現性を持って、その人に合わせることです。
まとめ
ヘルスケアに対するエンドユーザーの意識は、「流行」や「一般論」から、「私に合うかどうか」へと移行しています。
そして、各種データがそれを可能にする可能性を秘めています。
しかし、データはあくまで材料のひとつです。
数値を読み解き、生活に翻訳し、継続できる形に整えること。
そこまでできて初めて、「自分だけの健康」は現実になるのではないでしょうか。
次世代のヘルスケアは、“同じことをする世界”から、“個体差を前提に設計する世界”へ。
その中心にあるのはテクノロジーだけではなく、それを扱い、翻訳し、伴走する専門性なのではないでしょうか。
今日のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社グリスタは個別化ヘルスケアに特化した遺伝子分析サービス「IDENSIL(イデンシル)」の開発メーカーです。
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IDENSIL管理栄養士 根岸
IDENSIL(株式会社グリスタ)に所属している管理栄養士の根岸です。 遺伝子活用と栄養に関する情報をお伝えしていきます。 ※IDENSILは、健康な方を対象に遺伝的傾向を把握するためのヘルスケアツールであり、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。本コラムでも医療用の遺伝子検査ではなく、ヘルスケア分野での利活用に限定して紹介しています。



