#87 データテックと遺伝子検査 ―健康データを「納得できる情報」に変えるための視点とはー
【この記事の3行まとめ】
- 健康診断や血液、睡眠・心拍数など、健康データは増えているが活かしきれていないケースも多い
- データテックが扱う行動・数値データに、遺伝子検査という体質・特性の視点を重ねることで理解しやすくなる
- 遺伝子検査は、健康データを「自分に納得できる情報」に変えるための重要なデータのひとつとして活用できる
皆さんこんにちは。
株式会社グリスタ代表の斎藤です。
健康やヘルスケアの領域では、ここ数年で扱われるデータの種類が一気に増えてきました。
健康診断の結果、血液データ、ウェアラブルデバイスによる心拍数や睡眠、
日々の活動量やストレス指標など・・・
データテックの進化によって、こうした情報は以前よりも簡単に取得・分析できるようになっています。
一方で、「データは増えているのに、活かしきれていない」
そんな声も、現場ではよく耳にします。
健康データは、”バラバラに”存在している
例えば、健康診断の結果は年に一度、血液データは検査のタイミングごと、
睡眠や心拍数は日々リアルタイムで蓄積されていきます。
それぞれは非常に価値のある情報ですが、多くの場合、別々のツールで管理されています。
エンドユーザーから見ると、
- 何を優先にデータを見たらいいのか
- どれが自分にとって重要なデータなのか
- どのデータとどのデータを関連づけて見たら良いのか
が分かりにくい状態になりがちです。
データテックが得意なこと、遺伝子検査が補えること
健康・ヘルスケア領域のデータテック企業は、
「今の状態」や「変化」を捉えることに非常に長けています。
- 心拍数の変動
- 睡眠の質の推移
- 血液数値の改善・悪化
これらは、行動や生活の結果として現れるデータです。
一方、遺伝子検査が扱うのは、生まれ持った体質や傾向といった、変わらない前提情報です。
この二つが組み合わさることで、健康データの意味合いは大きく変わってきます。
同じ数値でも「伝え方」が変わる
例えば、睡眠時間が短いというデータがあったとします。
ある人にとっては、生活リズムを整えることが重要かもしれませんし、
別の人にとっては、回復の質を意識した方が合っているかもしれません。
血液データや心拍数も同様です。数値そのものは同じでも、
どこに注目し、どう向き合うかは人によって違う。
遺伝子情報があることで、「なぜこの人にはこの視点が合いそうなのか」を
説明しやすくなります。
エンドユーザーにとっての価値は「分かりやすさ」
私たちが、健康・ヘルスケア系のデータテック企業との連携に
大きな可能性を感じている理由はここにあります。
データが増えること自体が価値なのではなく、自分にとって何を意識すればいいかが分かること。
- この数値は気にした方がいい
- ここはそこまで神経質にならなくていい
- 今はこの行動を続けてみよう
そうした判断ができる状態は、エンドユーザーにとって大きな安心につながります。
技術連携ではなく「体験設計」の話
健康診断データ、血液データ、睡眠や心拍数。
それらを扱うデータテック企業との連携は、単なるデータ連携やAPIの話ではありません。
- どの情報を
- どの順番で
- どんな言葉で伝えるか
ここまで含めて設計することで、健康データは初めて「使える情報」になります。
遺伝子検査は、その設計の中で一人ひとりの前提を整理する役割を担えると考えています。
これからの健康サービスは、組み合わせで進化する
健康・ヘルスケア領域では、一つのデータですべてを語る時代ではなくなってきました。
行動のデータ、数値のデータ、そして体質や傾向といった背景のデータ。
それぞれの強みを活かしながら組み合わせていくことで、
エンドユーザーにとって、より無理がなく、納得感のある健康体験が生まれていきます。
私たちは、これからも健康データを扱うデータテック企業との連携を通じて、
そうした体験づくりに貢献していきたいと考えています。
株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利
1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。



