#84 スポーツ用品市場は拡大傾向。その広がりから、運動との距離感の変化が見えてくる
【この記事の3行まとめ】
- スポーツ用品小売市場は4年連続で拡大し、2024年度に1兆5,000億円を突破した
- 市場拡大の背景には、運動との関わり方が多様化し、生活に近づいてきた流れがある
- 今後は「始める」だけでなく、「無理なく続けられる関わり方」がより重要になりそう
皆さんこんにちは。
株式会社グリスタ代表取締役の斎藤です。
スポーツ用品小売市場が、4年連続で拡大し、
2024年度には1兆5,339億円に達したという調査結果が公表されました。
前年度比でも3.3%増となり、市場は安定した成長を続けています。
(帝国データバンク「スポーツ用品小売」業界動向調査・2024年度)
私たちが身を置くヘルスケアや体質・生活習慣に関わる周辺業界から見ても、
この数字はここ数年の空気感と重なって感じられます。
スポーツや健康への関心が、特別なブームではなく
日常の延長線上に置かれ始めている、そんな流れが数字として表れてきたように見えます。
市場の広がりが映しているもの
今回の市場拡大を振り返ると、特定の競技や一部の愛好家に限られた話ではなく、
運動との関わり方そのものが広がってきた印象があります。
コロナ禍をきっかけに、ゴルフやキャンプ、アウトドアといった屋外活動が注目されましたが、
その後も行動制限の緩和、スポーツイベントの再開、インバウンド需要の回復などが重なり、
スポーツ用品全体への関心が少しずつ裾野を広げてきました。
「競技として本格的に取り組む」だけでなく、自分のペースで体を動かす、
そんな選択肢が増えてきたように感じられます。
運動が“構えなくていいもの”になりつつある
近い領域で人の行動変化を見ていると、ここ数年で大きく変わってきたのは、
運動に対する構え方かもしれません。
私たちも、体質や生活習慣と向き合うサービスに関わる中で、
「頑張りすぎない続け方」や「無理のなさ」を重視する声が増えてきたことを感じています。
- 毎日でなくてもいい
- できる範囲で続けたい
- 自分に合う形を知りたい
こうした感覚が、
以前よりも自然に受け入れられるようになってきたことが、
市場の安定した拡大につながっているようにも見えます。
スポーツ用品小売に見られる2つのスタイル
市場の広がりを見ていると、スポーツ用品小売の中でも、価値の出し方にはいくつかの方向性が見えてきます。

どちらが優れているという話ではなく、どちらのスタイルも市場の広がりを支えているように見えます。
一方で、運動との関わり方が多様化する中では、
体験や継続を支える視点の重要性も、少しずつ増してきているのかもしれません。
2026年に向けて、関心が集まるタイミング
調査では、2026年に複数の国際大会が予定されていることから、
スポーツ用品需要への後押しが期待されています。
国際大会は、テレビや配信、ニュースを通じて、それまであまり知らなかったスポーツに
触れるきっかけや運動を始める動機を生み出す存在です。
そこに、すでに根付き始めている「日常的な健康意識」が重なれば、
大会をきっかけに始めた運動が、自分なりの形で生活に残っていく流れも生まれてきそうです。
周辺業界から見た前向きな変化
スポーツ用品市場の成長を見ていると、「モノが売れる」という話以上に、
人と運動の距離が縮まってきているように感じられます。
体力や目的、生活リズムが人それぞれ違う中で、「それぞれに合った関わり方があっていい」
という空気が広がることは、
フィットネスやヘルスケア、体質・生活習慣に関わる領域にとっても、
とても前向きな変化です。
数字の奥にある、やわらかな流れ
1兆5,000億円という市場規模は、確かにインパクトのある数字です。
ただ、その背景には、運動が“頑張るもの”から“生活の一部”へと近づいてきた
そんな変化が静かに進んでいるようにも感じられます。
私たちも、体質や生活習慣と向き合う中で特に感じているのは、
運動は「自分に合っていると感じられるかどうか」が、続けやすさにつながるということです。
スポーツ用品市場の成長も、そうした感覚が広がってきた表れの一つなのかもしれません。
株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利
1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。



