IDENSIL管理栄養士 根岸

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#83 遺伝子検査の活用は難しいのか?―ヘルスケア事業者がつまずきやすいポイント

皆さんこんにちは。

株式会社グリスタ 管理栄養士の根岸です。

今回は、「遺伝子検査の活用はなぜ難しく感じられるのか」をテーマにお送りします。

 

近年、ヘルスケア業界では「個別最適化」という考え方が急速に広がっています。

パーソナルジム、整体院、エステサロン、フィットネスクラブなど、業態を問わず

「一人ひとりに合った支援」が求められる時代になりました。

その流れの中で、遺伝子検査に関心を持つヘルスケア事業者も増えています。

一方で、実際に導入・活用まで進められているケースはまだこれから広がっていく段階だと言えるでしょう。

「興味はあるけど、なんだか難しそう」──そんな状態で検討が止まっているヘルスケア事業者も

少なくないのが実情です。

では、遺伝子検査の活用は本当に難しいのでしょうか。

 

そもそも遺伝子検査とは

遺伝子検査という言葉から、「体質がすべて分かる」「将来の健康状態が分かる」といった

イメージを持たれることがあります。

しかし、遺伝子検査はそうした万能なものではありません。

一般的に得られるのは、筋肉や代謝、ストレスや睡眠などに関わる

体の反応傾向や特徴に関する情報です。

「何が起こるか」を断定するものではなく、「どういう傾向を持ちやすいか」を

推定するための材料と捉えるのが適切でしょう。

つまり、遺伝子情報はそれ単体で完結するものではありません。

運動、栄養、ケアといったヘルスケアサービスと組み合わさることで、初めて意味を持つ情報なのです。

 

専門ノウハウと結びついたときに見えてくる価値

たとえばパーソナルジムを例に考えてみましょう。

AさんとBさんという、ダイエットをしたいという同じ目的・同じ年齢・同じような体型の人がいたとします。

その二人に、トレーナーが同じトレーニングメニューを提供したとしても、成果の現れ方には差が出てきますよね。

トレーナーはこれまでも、経験や観察を通じてそのような違いを調整してきたはずです。

そこに遺伝子情報が加わることで、

「なぜこの人は成果が表れにくいのか」

「なぜ同じ食事指導でも反応に差が出るのか」

といった点を、より納得感のある形で説明できる可能性があります。

例えば、Aさんは生まれ持った体質的に脂肪燃焼しやすい体質傾向、Bさんは脂肪蓄積しやすい体質傾向だとしたら、

アプローチの方法が変わってくるのではないでしょうか。

もちろん、痩せるためには運動が必要という原理原則は変わりません。

そこから、「なぜこの人はこちらのほうが合っているのか」ということを、より理解しやすくなるのです。

新しい指導法を無理に増やすというより、既存の専門ノウハウを個別最適化するための補助情報として

活用できる点が、遺伝子検査の本質的な価値だと言えるでしょう。

 

「遺伝子は難しい」というよくある誤解

遺伝子検査の導入をためらう理由として多いのが、「専門的な勉強が必要そう」という印象です。

しかし実務上、遺伝子の分子構造や解析技術まで理解する必要はありません。

体組成計を思い浮かべてみてください。

多くのヘルスケア事業者は、体組成計の測定原理の詳細まで理解していなくても、

数値の意味を把握し、指導に活かしています。

遺伝子検査も同様で、重要なのは「結果をどう読むか」「どう現場で使うか」という視点です。

知識の量よりも、解釈と運用の設計が問われる分野だと言えます。

 

それでも活用が進みにくい理由

では、なぜ遺伝子検査は「難しい」と感じられやすいのでしょうか。

多くの場合、つまずきやすいのは遺伝子そのものではなく、

遺伝子情報と既存の専門ノウハウをどう結びつけるかという部分です。

遺伝子検査の結果は抽象的になりやすい傾向があり、

「結局、何をどう変えればいいのか」

と感じてしまうヘルスケア事業者もいるかもしれません。

この“翻訳”がうまく設計されていないと、現場では使われにくくなってしまいます。

活用の難しさの正体は、ここにあるケースがほとんどだと考えています。

 

事業者が押さえておきたい活用の視点

遺伝子検査の価値は、管理栄養士・トレーナー・ドクターなど、

専門家が活用することで情報としての価値を発揮しやすいという特徴があります。

専門性があるからこそ、遺伝子情報を根拠の一つとして用いながら、支援内容を個別最適化することができます。

あくまで主役は、事業者が持つ専門ノウハウであり、遺伝子情報はそれを支える補助線として位置づけられています。

 

個別最適化や差別化を考えるなら

遺伝子検査は、すべてのヘルスケア事業者に必須のものではありません。

しかし、顧客満足度を高めたい、より個別最適化された支援を行いたい、

他社との差別化を図りたい──そうした課題を感じている場合、有効な選択肢の一つになり得ます。

遺伝子情報は、使い方を誤れば活かしきれませんが、正しく扱えば顧客理解を深めるための有用な情報になります。

 

今日のIDENSIL情報局は以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

株式会社グリスタは個別化ヘルスケアに特化した遺伝子分析サービス「IDENSIL(イデンシル)」の開発メーカーです。

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IDENSIL管理栄養士 根岸

IDENSIL(株式会社グリスタ)に所属している管理栄養士の根岸です。 遺伝子活用と栄養に関する情報をお伝えしていきます。 ※IDENSILは、健康な方を対象に遺伝的傾向を把握するためのヘルスケアツールであり、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。本コラムでも医療用の遺伝子検査ではなく、ヘルスケア分野での利活用に限定して紹介しています。

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