#32 アスリートの「伸びしろ」を科学で支える ― 専門家が活用する遺伝子分析の新常識
皆さんこんにちは。
今回はIDENSIL情報局から「遺伝子検査×アスリートの個別化戦略」をテーマにお伝えします。
「同じメニューをこなしても、伸びる人とそうでない人がいる」――アスリートをサポートするプロの専門家が感じている現場のリアルではないでしょうか。
アスリートのその差は、“才能”ではなく“個体差”で説明できる時代が、静かに始まっています。
個体差に着目するという視点
筋線維の傾向、怪我のしやすさ、栄養吸収、ホルモンの感受性、睡眠、代謝…。
私たちの身体は、見た目が似ていても、内側は一人ひとり異なる「設計図」を持っています。
だからこそ、画一的な指導では成果に限界があります。
最近では、この「体質情報」に基づいてプログラムを最適化する動きが、アスリートサポートの現場でも広がりを見せています。
イデンシル情報局でも再三お伝えしている通り、遺伝子分析の情報だけでは消費者にとって良い情報とは言えず、それはアスリートにとっても同じです。
目標を達成するにあたって、まずトレーナーやコーチ(あるいはアスリート自身)がアスリートの身体状態、栄養の状態、睡眠の状態、トレーニングやケアの状態などの現状分析を行い、より良いパフォーマンスを出すために、どうしたら良いかというのを考えていくのが一般的でしょう。
それに加えて、たとえば高負荷のトレーニングで追い込むより、筋タイプ的には負荷を分散したほうが結果に結びつく体質の選手もいる等、選手一人ひとりの体質によって、どちらのトレーニングやケアをしたら良いのか、その選択を行うための“もう一つの根拠”として、遺伝子情報を活用する身体の専門家が増えています。
科学を「使える情報」として活かすために
どんなに専門的で正確な情報でも、現場でどう役立てるかが非常に重要です。
大切なのは、情報の受け取り方と、それをどうノウハウに結びつけ、指導に活かすかという視点です。
遺伝子に関する情報も、結果を見るだけでははっきり言ってあまり役に立ちません。
そこにある仕組みや背景を理解し、自分の専門分野や経験、対象者の悩みや目標、生活習慣などの現状とつなげながら考えることが必要です。
「この情報から何が言えるのか」「この選手にどう活かせるのか」といった問いを持つことで、はじめて意味が見えてきます。それは特別な能力というより、日々の現場で積み重ねてきた視点や判断の積み重ねから生まれるものです。
経験と科学をつなげていく
遺伝子分析は、身体の専門家が、自分の考えを深めるための補助的な情報のひとつです。
選手の生まれ持った体質を理解する材料になります。そこから得られる気づきが、判断の幅を広げてくれ、これまでの経験や観察に、科学的な視点が加わることで、より厚みのあるサポートができるようになるのではないでしょうか。
本日のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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IDENSIL(イデンシル) 情報局
株式会社グリスタが運営する、遺伝子情報を正しく活用するための メディアです。 ※IDENSILは、健康な方を対象に遺伝的傾向を把握するためのヘルスケアツールであり、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。本コラムでも医療用の遺伝子検査ではなく、ヘルスケア分野での利活用に限定して紹介しています。