#27 業務用遺伝子検査とは?― 個別最適化されたヘルスケアのために ―
皆さんこんにちは。
今回は「業務用遺伝子検査」をテーマにお伝えしていきます。
「遺伝子検査」という言葉が広く知られるようになって久しくなります。
祖先のルーツを探ったり、(良し悪しはさておき)自分の体質や病気のリスクを知る機会が一般の方にも広がってきました。
しかし、ヘルスケア事業者にとっての「遺伝子検査」は、単なる情報収集の手段にとどまるものではありません。そこには、サービスの質を向上させ、顧客一人ひとりの体質に合ったアプローチを提供するための、重要な「業務用遺伝子分析」の可能性が広がっています。
遺伝子検査でわかること
まずは、遺伝子検査とはそもそも何を明らかにするものなのかを確認しておきましょう。
遺伝子とは、私たちの身体の設計図のようなものであり、代謝酵素の働きやホルモンの働き、筋線維組成の傾向、睡眠の質に関する傾向まで、多岐にわたる体質情報を読み取ることができるようになってきました。
ただし、注意すべきは「遺伝子=未来が決まる」という考え方にはならないという点です。遺伝子はあくまで「傾向」を示すものであり、それが実際にどのように現れるかは、生活習慣や環境、年齢など多くの要因に左右されます。だからこそ、遺伝子検査の結果は「診断」ではなく、「指導に活かすための情報」として活用することが求められるのです。
業務用遺伝子検査の役割とは
業務用遺伝子検査は、ヘルスケア事業者、例えばパーソナルトレーナー、管理栄養士、スポーツドクター、理学療法士、エステティシャンなどが、自らの専門知識と組み合わせて、よりパーソナライズされたサービスを提供するために用いるツールで、専門家が利用することを前提とした専門的な仕様となっている点が特徴です。
例えば、同じように「太りやすい」と言われる人でも、その背景にある要因はさまざまで、一人ひとり異なる体質が隠れています。業務用遺伝子検査では、こうした違いをより精緻に見極め、アプローチの方向性を明確にすることができます。
個別最適化されたヘルスケアのために
現代のヘルスケア業界では、「一律の指導」では通用しない時代に突入しています。ダイエット、睡眠改善、疲労回復、スポーツパフォーマンス向上、美容サポートなど、どの分野でも「個別最適化」が強く求められるようになっています。
その中で、業務用遺伝子分析は、顧客の「変化を促す」ための説得力のある根拠として機能します。従来であれば、経験と感覚に頼っていた部分に、科学的な視点を持ち込むことで、指導に対する信頼性や納得感を高めることが可能です。これは、顧客との信頼関係を築く上でも、長期的な成果を出す上でも、非常に大きな意味を持ちます。
専門家の知見と組み合わせてこそ生きる分析
ただし、どれほど高度な遺伝子分析であっても、それ自体が「最適な方法を教えてくれる魔法のツール」ではありません。そこに専門家の知見と経験が重ね合わさって初めて、価値ある指導が実現されるのです。たとえば、遺伝的に「ミトコンドリアの働きが落ちやすい可能性がある体質傾向」という情報があっても、その人の食生活や運動習慣、モチベーションなどを総合的に判断しなければ、本当の意味での「最適」は導き出せません。
業務用遺伝子検査は、いわば「地図」のような存在です。その地図をどう読み取り、どのようなルートを選ぶかは、事業者一人ひとりの腕にかかっています。
まとめ
ヘルスケア事業者が使う遺伝子検査というテーマは、今まさに大きな転換点を迎えています。これからのヘルスケアにおいて、いかに専門家がこの技術を活用し、個別最適化されたサービスを提供していくか。そこに未来の可能性が広がっています。
今日のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社グリスタは個別化ヘルスケアに特化した遺伝子分析サービス「IDENSIL」の開発メーカーです。
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株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利
1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。