株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利

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#23 遺伝子検査と信憑性~消費者にとって安心できる情報提供とは~

皆さんこんにちは。

今回は遺伝子検査とその信憑性という観点から、お伝えしていきたいと思います。

 

近年、手軽に受けられるようになった遺伝子検査。ダイエットや病気のリスク予測、祖先探求など、様々なサービスが展開され、関心が高まっていることを業界内にいても感じています。

しかし様々な遺伝子検査が販売されている一方で、その信憑性について疑問を抱く方も少なくありません。

経済産業省が公表している、事業者向けのガイドライン「個人遺伝情報ガイドラインと生命倫理」(以下、ガイドライン)をもとに、消費者の皆さんが安心して遺伝子検査を利用できるよう、その信憑性に関する情報をまとめました。

遺伝子検査を受けようか、受けて良いのか迷っている方は是非参考になさってくださいね。

※本記事は、診断目的の遺伝子検査ではなく、体質等を調べることを目的とした消費者向け遺伝子検査についての記事です。

 

 

科学的根拠の明示

遺伝子検査事業者を選定するひとつの基準として、検査結果の根拠となる科学的論文やデータベースを明確に示されていることが挙げられます。

検査項目ごとに、どのような研究に基づいているのか、その研究の信頼性はどの程度かを確認することが重要です。

ガイドラインでは、事業者に対して、根拠となる情報をホームページなどで公開し、利用者からの問い合わせにも適切に対応することを求めています。

これらの情報が提供されているかを確認し、不明な点があれば事業者に問い合わせることで、検査の信憑性を判断する材料とすることができます。

 

検査の精度と限界を知る

消費者向けの遺伝子検査の研究は、日々進歩しており、かなりの高い精度で結果が出るものもある一方で、あくまで統計的な確率に基づいたものであり、100%確実なものではありません。

検査の精度には限界があり、結果が必ずしも将来の健康状態を保証するものではないことを理解しておく必要があります。

また、遺伝的要因だけでなく、生活習慣環境要因も健康に大きく影響します。

遺伝子検査の結果だけで判断せず、医療機関等での相談や適切な生活習慣の維持も重要です。

ガイドラインでも、事業者に対して、検査の精度や限界について利用者にわかりやすく説明することを求めています。

消費者は、これらの情報提供を受け、検査結果を適切に解釈する必要があります。

 

データの安全性とプライバシー保護

遺伝情報は、個人情報保護法の適用対象となり得る、非常にセンシティブな個人情報です。

信頼できる遺伝子検査事業者は、データの安全性とプライバシー保護に万全を期しています。

消費者の皆さんは、データの保管方法や利用目的、第三者への提供の有無などを明確に示し、個人情報保護法に基づいた適切な管理体制を構築しているかを確認することが重要です。

ガイドラインでは、事業者に対して、個人情報保護法の遵守を徹底し、利用者への適切な情報提供と同意取得を求めています。

これらの情報を確認し、安心して利用できる事業者を選択することが重要です。

 

カウンセリングの提供

遺伝子検査の結果は、時に複雑で理解しづらい場合があります。

特に、病気のリスクに関する検査では、結果によっては不安や混乱が生じる可能性もあります。

信頼できる遺伝子検査事業者は、カウンセリングを提供する体制を整えているか、あるいは適切な医療機関等への連携体制を構築していることが望ましいです。

ガイドラインでは、事業者に対して、利用者が必要に応じてカウンセリング等を受けられるよう、適切な情報提供や支援を行うことを推奨しています。

検査結果について不安や疑問がある場合は、カウンセリング等の利用を検討することも必要です。

また、ダイエットを目的としている遺伝子検査や怪我予防やパフォーマンスアップを目的としたアスリートの皆さん等、体質の情報として活用する際は、正しい知識を持った専門家のサービスのひとつとして検査を受けられることを強くお勧めします。

 

適切な情報提供と誇大広告の禁止

遺伝子検査に関する情報は、科学的根拠に基づいた正確なものでなければなりません。

誇大な表現や誤解を招くような表現を用いた広告を打ち出しているような事業者の利用は避け、消費者が適切な判断を下せるよう、必要な情報をわかりやすく提供している事業者を選択することが重要です。

ガイドラインでは、事業者に対して、景品表示法や健康増進法などの関連法令を遵守し、適切な広告表示を行うことを求めています。

消費者の皆さんは、誇大な表現や科学的根拠が不明瞭な情報には注意し、信頼できる情報源から情報を得るように心がける必要があります。

 

まとめ

遺伝子検査は、健康管理や生活習慣の改善、病気の予防にも役立つ可能性を秘めた技術です。

遺伝子研究は日々進歩しており、その信憑性を適切に判断し、検査結果を正しく理解するためには、消費者の皆さんも正しい知識と情報収集が必要です。

ガイドラインで示されたポイントを参考に、信頼できる事業者を選び、安心して遺伝子検査を利用しましょう。

 

※ この記事は、経済産業省が公開している事業者向けのガイドライン「個人遺伝情報ガイドラインと生命倫理」を参考に作成しました。最新の情報は、経済産業省のウェブサイトをご確認ください。

 

 

今日のIDENSIL情報局は以上です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

株式会社グリスタは個別化ヘルスケアに特化した遺伝子分析サービス「IDENSIL」の開発メーカーです。

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株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利

株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利

1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。

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