株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利

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#22 なぜ同じダイエット方法でも結果が違う?遺伝子情報が示す「体質の個人差」

皆さんこんにちは。

今回も「遺伝子検査×ダイエット」をテーマにお伝えしていきます。


ダイエットに励む方の中には、「友人と同じ食事制限や運動をしているのに、自分だけ痩せにくい」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

このような個人差は、意志の強さや努力の量だけでなく、生まれ持った「体質」によっても影響を受けます。

今日は、なぜ同じダイエット方法を試しても結果に違いが出るのかを、科学的な観点から解説していきたいと思います。

 

1. ダイエットに関わる「体質の個人差」とは?

ダイエットの成功に影響を与える要因は多岐にわたりますが、遺伝的に違いの出る可能性のある体質要因の例を挙げてみましょう。

• 運動効果の違い:ミトコンドリア影響により、運動効果が出やすい人と出にくい人がいます。

• 脂肪燃焼効率の違い:特定のホルモンの働きにより脂肪燃焼がしにくくなる人がいます。

• 食欲や満腹感の感じ方:脳機能に影響するたんぱく質の働きにより、満腹中枢の働きが落ちやすくなる人がいます。

これらの要因には、生まれ持った体質が関係していることが近年の研究で明らかになっています。例として挙げたのは3つですが、これだけでも個人差があることがお分かりいただけると思います。

 

2. 代謝の違いは体質によって決まる?

私たちの体は、摂取した栄養をエネルギーに変換する「代謝」と呼ばれるプロセスを持っています。

この代謝の速さには個人差があり、脂肪燃焼に影響するホルモンの傾向によっては、燃焼しにくい人もいます。

このような体質の違いによって、基礎代謝が高い人はエネルギーを消費しやすく、比較的痩せやすい傾向があります。

一方で、筋肉が酸化や炎症の影響などから落ちやすいような人は、筋肉量を落とさないようなアプローチが重要になります。

 

3. 脂肪の燃焼効率にも個人差がある

「脂肪をため込みやすい体質かどうか」は、遺伝的な要因も影響を受けることがわかってきています。脂肪細胞の分化影響によって肥満に影響が出やすかったり、そうでなかったりは、一人ひとりの体質によって異なります。

しかし、こうした体質の違いがあるからといって、ダイエットが無意味になるわけではありません。現在の状況や基礎代謝、生活習慣などに合わせて効果的な対策を考えることが重要です。

 

4. 食欲や満腹感にも体質が関係?

ダイエットの大敵である「食欲」。実は、食欲や満腹感を感じる度合いにも個人差があります。

例えば・・・

• 空腹を感じやすいタイプ:満腹感を感じにくく、食事量が増えがち。

• 食事の満足度が低いタイプ:同じカロリーを摂取しても、より多く食べたくなる。

 

このような違いによって、同じ食事量でも摂取カロリーが増えてしまうことがあります。

そのため、ダイエット中の食事管理方法も一律ではなく、個人の体質に合わせた工夫が必要です。

満腹中枢に影響を及ぼすたんぱく質によって過食が起きやすい場合などは、そのたんぱく質を活性させるためのアプローチを考えるなど、要因や現状に合わせて個別にアプローチすることが重要になります。

 

5. 体質を活用した「次世代型ダイエット」

自分の体質を管理栄養士やトレーナーなどの専門家が把握・理解してくれ、体質に基づいて指導することで、より効率的なダイエット計画を立てることが可能になります。

 

まとめ:自分の体質を知り、無理なくダイエットを続けるために

ダイエットの成功には、個人の体質を理解し、現状や目的も加味したうえでそれに合った方法を選ぶことが重要です。

体質を活用すれば、「なぜ自分は痩せにくいのか?」という疑問に対する答えを得られ、無理なく効果的なダイエットを継続できるようになります。

しかし、市販の簡易的な診断では科学的根拠が不十分なものもあるため、信頼できる専門家のもとで適切に活用することが大切です。自分の体質を知り、科学的なアプローチで理想の体型を目指しましょう。


 

今日のIDENSIL情報局は以上です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利

株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利

1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。

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