#20.2 遺伝子検査×ダイエットは「痩せ方を決めるもの」ではない~専門家が活用する本当の意味(後編)~
皆さんこんにちは!
先日公開いたしました、「痩せ方を決めるもの」ではない~専門家が活用する本当の意味(前編)~の後編をお届けします。
5. 遺伝子情報を活用した「次世代型ダイエット」の可能性
これまでのダイエット方法は、多くの場合「一般論」に基づいたものでした。例えば、「糖質制限が効果的」「脂質を抑えるべき」「有酸素運動が最も効率的」といったダイエット理論は数多く存在します。しかし、それらの方法がすべての人に同じように効果的であるわけではないことは、すでに多くの研究で明らかになっています。
では、個々の体質に最適化されたダイエットは、どのように実現できるのか? ここでカギとなるのが、「遺伝子情報の活用」×「専門家による指導」というアプローチです。
6. 個別最適化されたダイエットとは?
▼従来の画一的なダイエットとの違い
これまでのダイエット法は、多くの人が同じメソッドを実践し、成功するかどうかは「個人の努力次第」とされてきました。しかし、遺伝子情報を活用することで、より「その人に合った方法」を科学的に導き出すことが可能になります。
例えば、次のような事実がわかります。
- インスリン生成が苦手な人 → 極端な糖質制限ではなく、血糖値のコントロールを意識した食事が重要
- 脂質コントロールが苦手な人 → 脂質の摂取量を調整しながら、適切な運動を組み合わせる
- 筋肉の付きやすさに個人差がある → トレーニング方法をその人の筋線維組成に合わせて調整
このように、「なんとなく流行っているからやる」のではなく、自分の体質を理解した上で実践するダイエットが可能になるのです。
7. 遺伝子情報を活用するダイエットのメリット
① 無駄な努力を減らせる
「糖質制限を頑張ったけど、全然痩せなかった」「筋トレを続けてもなかなか成果が出ない」
こうしたダイエットの失敗は、そもそもその方法が自分の体質に合っていなかった可能性があるからです。
遺伝子情報を活用することで、最初から「より自分に合った方法」を選んでもらえるため、遠回りせずに効果的なダイエットが期待できます。
② 長期的に継続しやすい
自分の体質に合ったダイエットは、無理なく続けやすいというメリットがあります。
例えば、血糖のコントロールが優先的に必要ない体質の人が、無理に糖質を制限しようとすると、ストレスが溜まりリバウンドのリスクが高まります。逆に、適切な範囲で糖質を摂取しつつ、効果的な方法を取り入れれば、無理なく継続できるのです。
③ リバウンドしにくい
リバウンドが起こる原因のひとつに、「自分に合わない方法を無理に続けた結果、やめた途端に元に戻る」というケースがあります。
遺伝子情報を活用し、個別最適化されたダイエット方法を実践すれば、無理なく続けられるため、リバウンドのリスクを大幅に下げることが期待できます。
8. 遺伝子情報を活用する際の注意点
ここまで「遺伝子情報を活用したダイエットのメリット」を紹介しましたが、一方で注意すべきポイントもあります。
① 遺伝子情報だけでは不十分
繰り返しになりますが、遺伝子情報だけでダイエット方法を決めることはできません。 例えば、「糖質を代謝しにくい遺伝子タイプ」と判明したとしても、必ずしも糖質制限をすべきとは限りません。
重要なのは、「遺伝子情報+現在の生活習慣+専門家の判断」 という総合的なアプローチです。
② DTC遺伝子検査の結果を鵜呑みにしない
市販のDTC遺伝子検査では、科学的根拠が不十分なものや、精度の低い解析が提供されているケースもあります。そのため、専門家が活用することを前提とした遺伝子検査や仕組みとは大きな違いがあることを理解しておく必要があります。
後編まとめ:「遺伝子×専門家」でダイエットの精度を高める
遺伝子検査を活用したダイエットは、「この方法で痩せられる」と決めつけるものではなく、「個々の体質に合わせた最適なアプローチを見つけるためのツール」として活用されるべきだと私たちは考えます。
✅ 正しく活用するポイント
✔ 遺伝子情報は「参考情報」として活用する
✔ 生活習慣や環境要因と組み合わせて考える
✔ 専門家(管理栄養士やトレーナー)の指導とセットで活用する
✔ DTC遺伝子検査の安易な情報を信じず、業務用の遺伝子分析を活用する
当社は、業務用遺伝子分析の専門企業として、科学的根拠に基づいた遺伝子情報を提供し、専門家と連携することで、より精度の高いダイエット支援を可能にしています。
これからのダイエットは、「画一的な方法」ではなく、「個別最適化」が当たり前の時代へ。
遺伝子情報を正しく活用し、無駄のない効果的なダイエットを実践していきましょう。
今回のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございました。

株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利
1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。