【コラム】トップアスリートの遺伝子研究の“是非”について
こんにちは。グリスタの斎藤です。
皆さん、昨夜のニュース23はご覧になりましたか?
▼Yahooニュースにも転載されていました▼
普段から大変お世話になっている先生方、代理店様である遺伝子トレーニング研究所の杉山社長をテレビを通して拝見し、スポーツ遺伝子が世の中の議論を起こすような存在になってきたのだと思うと、感慨深いところもありました。
ただ、時間の都合もあってか(?)、瞬発力・持久力に関連すると紹介されていた遺伝子を以て、スポーツの向き不向きが遺伝子検査でわかる、というようなニュアンスで伝わってしまうのではないかな?という印象も少し受けました。
もし私と同じような印象を受けた方は、是非読み進めて頂けると嬉しいです。
まず大前提として、遺伝子解析サービスIDENSIL(イデンシル)は遺伝子検査を業務用(BtoB向け)として展開しており、ドクターや管理栄養士、トレーナーなどの専門知識を有する事業者様にのみ、ご提供しています。まさにニュース23で取り上げられていた遺伝子トレーニング研究所様や、いわきFC様がその典型です。
遺伝子検査では、生まれ持った筋線維の特徴や様々なホルモンの影響などを推定することで、
個体差を把握・推定することが可能になります。
しかし、例えばトレーニングメニューを作成する際の参考情報として、遺伝子情報だけでは不十分ということは容易に想像できると思います。
トレーニングの目的、現在のパフォーマンス、食事、体重、脂肪率、生活習慣、既往歴など、優秀な専門家であればあるほど様々な情報を鑑みて作成するはずです。
もちろん遺伝子情報は身体の重要な情報だと考えていますが、たくさんの身体情報の中のひとつであることも重要な視点だと思います。
遺伝子情報を含めたそれらの情報をもとに、身体についての知識をお持ちの専門家が一人ひとりに合ったプログラムを作成し、エンドユーザーの方に提供することを私たちはメーカーとして必須にしています。
身体についての専門家と直接コミュニケーションが取れることで、前述のスポーツの向き不向きが遺伝子検査のみでわかる、といったような誤解が生じづらくなると考えているからです。
先にも触れましたが、個人的には今回のような議論が起きていることは、世間的には未知の科学領域=パラダイムシフトの中で、健全に、適切に、普及しつつある証拠だとポジティブに捉えています。
しかし、番組内でも福教授やコメンテーターの方がお話されていたように、
国としての取組みをやめてしまったことで、海外との差は広がってしまうだろうなという残念な気持ちを持っているのも確かです。
怪我を少しでも減らせられれば、選手生命やパフォーマンスアップにつながると思いますので、せめてアスリートの怪我予防という部分だけでも、選別や差別につながらないように配慮しながら進める道がなかったのかなと思わずにはいられません。
遺伝子検査は時期尚早、と言われたらそれまでなのかもしれませんが、これを機にまた議論が再開され研究が進むことを願うばかりです。
株式会社グリスタ 代表取締役 斎藤 利
1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。