#100 遺伝子検査は“導入するだけ”では意味がない?―価値を生むヘルスケアサービス設計の考え方とは
【この記事の3行まとめ】
・遺伝子検査は単体で販売しても、顧客価値や収益にはつながりにくい
・重要なのは、遺伝子情報を活用した「個別化されたサービス設計」である
・価値を生むには、設計・実装・運用まで含めた一貫した仕組みが必要
皆さんこんにちは。
株式会社グリスタ 管理栄養士の根岸です。
今回は、「遺伝子検査の導入」をテーマに、ヘルスケアの現場で見られる課題と、
価値につなげるための考え方についてお送りします。
近年、フィットネスやヘルスケア業界では、遺伝子検査を取り入れる動きが広がっています。
・個別に合わせた提案ができそう
・他社との差別化につながりそう
・サービスの付加価値を高められそう
こうした期待から導入を検討されるケースは増えています。
一方で現場では、
・「導入したが活用しきれていない」
・「一時的な話題にはなるが、売上や継続にはつながらない」
といった声も少なくありません。
なぜこのようなギャップが生まれるのでしょうか。
遺伝子検査は「単体販売」では価値になりにくい
まず前提として、遺伝子検査そのものは“単体で価値を生むサービス”ではありません。
なぜなら、エンドユーザーの目的はあくまで
・ダイエット
・ボディメイク
・健康増進
・パフォーマンス向上
などといった「結果」にあるからです。
遺伝子検査はあくまで手段(情報)であり、それ自体がゴールではありません。
そのため、「遺伝子検査が受けられます」という提供だけでは、
・何が変わるのか
・自分にどんなメリットがあるのか
が伝わりづらく、結果として価値として認識されにくくなります。
また、遺伝子検査の結果そのものだけでは、具体的な行動に落とし込みにくいという側面もあります。
価値を生むのは「情報」ではなく「活用された提案」
では、どこで価値が生まれるのでしょうか。
結論としては、遺伝子情報を活用した“個別化された提案”に変換されたときです。
そもそも、情報そのものだけでは、行動や成果には直結しません。
重要なのは、その情報が「どのように解釈され、どのような意思決定につながるか」です。
例えば、「なぜこのトレーニングなのか」 「なぜこのアプローチなのか」といった疑問に対して、
「あなたの体質傾向を踏まえると、こういう選択肢がある」という形で説明できるようになると、
提案に納得感と一貫性が生まれますよね。
また、同じプログラムであっても、「理由がある提案」と「なんとなくの提案」では、
受け取られ方や継続率に差が出ることも考えられます。
つまり、価値の本質は遺伝子検査そのものではなく、それを使った意思決定やサービスの質の向上にあると考えられます。
「単体提供」から「サービス設計」へ
この視点に立つと、重要なのは「遺伝子検査を売ること」ではなく、
サービスの中にどう組み込むかということがわかります。
例えば、
・カウンセリングでの理解深化
・プログラム設計の根拠づけ
・継続支援の中での振り返り
といった形で、サービス全体の中に組み込まれている場合、
遺伝子情報は自然に活用されるようになります。
このとき初めて、サービスの差別化や顧客の納得感向上 、
LTVの向上といった価値につながる可能性が出てきます。
「導入」ではなく「使い続けられる設計」が重要
さらに見落とされがちなのが「運用」の視点です。
どれだけ良い仕組みでも、
・現場で扱いにくい
・スタッフが説明できない
・オペレーションに乗らない
といった状態では、活用は定着しづらいと思います。
そのため重要なのは、「導入できるか」ではなく、「現場で使い続けられる形になっているか」です。
設計・教育・運用まで含めて初めて、サービスとして成立するといえるのではないでしょうか。
まとめ
遺伝子検査は、導入するだけで価値が生まれるものではありません。
重要なのは、
・単体で販売しないこと
・情報を“個別化された提案”に変換すること
・サービス全体の中で一貫して活用すること
です。
自社の強みと組み合わせながら、無理なく組み込まれた設計を行うことで、
はじめて顧客価値と事業価値の両立につながっていくと考えています。
今日のIDENSIL情報局は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社グリスタは個別化ヘルスケアに特化した遺伝子分析サービス「IDENSIL(イデンシル)」の開発メーカーです。
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IDENSIL管理栄養士 根岸
IDENSIL(株式会社グリスタ)に所属している管理栄養士の根岸です。 遺伝子活用と栄養に関する情報をお伝えしていきます。 ※IDENSILは、健康な方を対象に遺伝的傾向を把握するためのヘルスケアツールであり、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。本コラムでも医療用の遺伝子検査ではなく、ヘルスケア分野での利活用に限定して紹介しています。



