田中美由紀

香りの効果について/田中美由紀

こんにちは。管理栄養士の田中美由紀です。
高精度遺伝子分析サービス“イデンシル”では、「血圧が上昇しやすいか」、「コレステロール値が乱れやすいか」(高血圧や、コレステロール値が高い状態が続くことは動脈硬化の原因となる)、「ストレスを感じやすい・溜めやすいか」について自分の体質を確認できる項目があります。
最近、医療分野ではアロマテラピーが注目されています。良い香り(匂い)は、心身に良い効果をもたらします。

 

 

アロマテラピーとメディカルアロマセラピー

アロマテラピーとは、「アロマ=芳香」と、「テラピー=療法」を組み合わせた造語です。植物の香り成分を凝縮した精油(エッセンシャルオイル)を使い、心身に働きかけるホリスティック(全体的)な療法です。
精油は植物の花、葉、果皮、心材、根、種子、樹皮などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した、揮発性の芳香物質です。各植物に特有の香りと機能があります。
世界の伝統医学では、紀元前から医療に使われてきました。
メディカルアロマセラピーは、精油の働きを科学的根拠(エビデンス)に基づいて、臨床で用いるものです。現代西洋医学では、力の及ばないところを補完・代替します。日本では、(メディカルアロマセラピー学会の基準で)導入している医療施設はまだ少ないです。

 

 

匂いはどのように心身に伝わるのか?

匂いの物質が皮膚に浸透し、毛細血管から吸収されることを経皮吸収、鼻から吸い込んで鼻から脳へ、または鼻から吸い込んで肺から血液へ吸収されることを、経鼻吸収といいます。
経鼻吸収の際、匂いを鼻から吸い込んで鼻から脳へ伝わるしくみを説明します。
鼻から吸い込んだ匂いの物質は、鼻腔の奥の嗅上皮でにおいの化学情報を電気信号に変換されます。それが、脳の嗅球に伝わり、情報整理が行われたのち、嗅皮質に送られて匂いのイメージが作られます。ここから、3つのルートにわかれます。1つ目のルートは、脳の扁桃体へ、そこから視床下部に伝わるルートです。扁桃体では、好き嫌いなどの感情が呼び起こされ、視床下部では、自律神経系、内分泌系、免疫系に作用します2つ目のルートは、前頭葉に伝わるルートで、味覚など他の感覚の情報を統合します。3つ目は、海馬に伝わるルートで、記憶の情報が引き出されます。2つ目と3つ目のルートの情報が結びついて匂いが認識されます。

 

 

匂いの効果は?

 

 

メディカルアロマセラピーでは、以下のような生理効果や作用が示されています。
経鼻吸収では、精油の匂いの電気信号が、生体の調節機能(ホメオスタシス)の働きに大きくかかわっている視床下部を刺激するので、自律神経系、内分泌系、免疫系が調整されることになります。また、人の感情や情動を司っているのが大脳辺縁系の扁桃体です。精油の匂いの電気信号が、大脳辺縁系の神経細胞に働きかけ、不安感やうつ状態の改善する効果が認められています。また経鼻吸収と、経皮吸収を組み合わせることで体質改善効果や鎮痛作用が得られます。経皮吸収は、抗炎症作用(炎症物質により精油は異なる)や抗菌・抗真菌作用が得られます。(経皮吸収の際は、精油を希釈するためのオイルで、希釈してから用います。)

 

 

高血圧、脂質異常症、動脈硬化、ストレスにも期待できる

メディカルアロマセラピーでは、以下のような精油の作用が示されています。
血圧の上昇は、交感神経の刺激や血管の収斂が大きな原因ですので、リラックス効果のある精油の匂いの電気信号が、視床下部に伝わり交感神経と副交感神経のバランスを調整することで血圧の上昇は抑制出来ます。
精油に含まれているテルピノレン、ガンマテルピネン、チモール、オイゲノールなどの成分は、動脈硬化の進行を進めるLDLコレステロールの酸化を抑制します。テルピノレンはモミなどマツ科の精油に、ガンマテルピネンはティートリー、クミン、マンダリンなどの精油に、チモールはタイムの精油に、オイゲノールはクローブなどの精油に含まれています。
ブラッククミンの精油は、血中コレステロールや中性脂肪を低下させます。
また、動脈硬化に対しては、リラックス効果のある精油の血管の拡張作用と交感神経の抑制作用により有効と考えられます。細くなった血管を広げることで血液の流れが良くなり、血栓で血管が詰まる危険性が低くなります。また、交感神経が亢進すると、心臓から送り出される血液量がどっと増えます。動脈硬化が起きていると血管が破裂しやすくなりますが、交感神経を抑制できればこうした危険は低くなります。
柑橘系の香りには、抗ストレス作用があり、ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させたり、免疫力を高めるNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化してくれます。

ここでは、割愛しますが精油の正しい利用方法などを把握してから、香りを生活に取り入れると、心身の管理に役立つと思います。

 

 

 

田中美由紀

田中美由紀

『食事から、自分自身を大事にしてほしい』という思いで、管理栄養士の活動をしています。日本抗加齢医学会所属、アンチエイジングで老若男女、健康的な生活を送ってほしいという願いを持っています。 趣味は、薬膳料理。国際薬膳師、フードコーディネーター。

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