ラグビーW杯2019日本代表 徳永祥尭選手「無意識のうちに持って生まれた体質を補うような生活をしていた。やってきたことが間違いではなかったとわかって嬉しいです。」
徳永祥尭(とくなが よしたか)選手
生年月日: 1992年4月10日
ポジション:FL(フランカー)
所属クラブ:東芝ブレイブルーパス
2011年 関西学院高等部卒業後、関西学院大学に入学。関西学院大学時代、関西大学ラグビーリーグ戦Aグループで優勝。
2015年 関西学院大学卒業後、東芝ブレイブルーパスに加入。同年11月14日に行われたジャパンラグビートップリーグ第1節のクボタスピアーズ戦に先発出場で公式戦初出場を果たす。
2016年 リオデジャネイロオリンピックの7人制日本代表に選ばれ、同年12月にはスーパーラグビーサンウルブズの2017年スコッドに入る。
2017年4月22日に行われたアジアラグビーチャンピオンシップ2017韓国戦にて先発出場で日本代表初キャップを獲得。
2019年8月 ラグビーワールドカップ2019の日本代表に選出。また同年、東芝ブレイブルーパスの主将に就任した。
日本列島を熱狂させた2019年ラグビーワールドカップ日本代表を務めた徳永祥尭選手がIDENSILを受検。普段の生活チェックとも照らし合わせながらカウンセリングをさせていただきました。
——IDENSILは普段、遺伝子検査の結果の冊子を選手の方に直接渡すということはしていません。
例えばチームで使う場合は監督・コーチが見たり、あるいはトレーナーや管理栄養士さんが「怪我をしやすいから食事やトレーニングから補強しよう」とか「筋肉の体質が速筋タイプだからトレーニングはこうしていこう」とか「食事はここを強化していこう」という風に使うものです。徳永選手もIDENSILの結果を基にプロの方に相談していただくことをおすすめします。徳永選手は速筋タイプですね。自覚はありましたか?
「ラグビー選手としてはありがたいですね、体が大きい選手と闘っていかなくちゃいけないので。速筋タイプだろうなぁとは思っていました。」
——徳永選手は速筋タイプですが、速筋タイプだからと言って持久力がないわけではないんです。持って生まれた遅筋の割合は少ないだけで鍛えればもちろん遅筋も鍛えられます。
「遅筋と速筋の割合っていうのは一生変わらないんですか?」
——基本的には変わりません!
持って生まれた筋繊維の割合は変わりません。後天的にやや変動はあるようですが、大きくは変わらないと言われています同じトレーニングをしても、遅筋繊維より速筋繊維の方が肥大しやすいので、筋肉が大きくなるのは後者というわけですね。
逆に言うと徳永選手は遅筋が少ないので、持久力が欲しいなら遅筋トレーニングを重点的にした方がいいということになりますね。
「体を大きくしたければ速筋を鍛えて、持久力を上げたければ遅筋を鍛えればいいんですね。体質と目的によってトレーニングの内容を考えていった方がいいんですね。」
——注意して欲しいのが筋損傷です。
徳永選手は筋肉が硬くなりやすい性質を持っています。これは最近遺伝的要因についてもわかってきました。「エストロゲン」という女性ホルモンの受け取りが苦手な体質です。エストロゲンが少ないと筋肉が硬くなりやすくなり、それによって肉離れが起きやすくなります。
「そうですね、自分は筋肉が硬くなりやすい体質なんだなと自覚していました。
ここ2,3年なんですがトレーニングや試合後、翌日まで筋肉の張りが残ってしまったりします。
自分なりの対策としてストレッチを重点的にやるようにしています。」
——素晴らしい!ご自身で自覚してストレッチで予防していたんですね。怪我をしてからでは遅いですからね。
女性ホルモンに代わると言われているイソフラボンも有効かもしれません。食事で大豆製品を摂ったりソイプロテインを選んでみたりしてもいいかもしれませんね。
「もともと食事には気を使っていましたが、大豆を意識して摂取するといいんですね。ストレッチにプラスして食事からも予防していこうと思います。」
——ぜひそうしてみてください。徳永選手モチベーションにリスクがありますね。トレーニングに対するモチベーションを維持するのが苦手になりやすい傾向があります。
ラグビー日本代表まで行かれているのでご自身でモチベーションコントロールは出来ていると思いますが、トレーニングが続かなかったり飽きやすいということがおきやすい傾向があります。
特に目的意識のまだ強くない子供のころなどに影響が出やすいかもしれません。
「僕高校大学とほとんど筋トレしていませんでした(笑)ウェイトトレーニングが嫌いでしたね・・・
今はプロとしてしっかりとした目標があるからモチベーションを保って練習やトレーニングもできています。」
——続いて疲労ストレスにリスクがありますね。食事で対策可能ですが気をつけて欲しいところです。
徳永選手はセロトニンを作るの苦手な傾向があります。セトロニンを作るために食事に気をつけることをお勧めします。
セロトニンの合成に必要な栄養素としてトリプトファンがあります。たんぱく質であるお肉やお魚、大豆から万遍なく摂ってください。いまはアスリートとしてきちんとたんぱく質からトリプトファンを摂取できているので心配ないと思います。
ただこれは現役を退いた後もついて回ります。ぜひ覚えておいていただきたいです。
それからたまったストレスからの回復も苦手な傾向にあります。ストレスを感じ始めたら意図的にストレス発散をしてください。
「たんぱく質は良質なものを十分摂るように心がけています。引退後食事の量が減ったりしたときが気がかりですね。不足しないようにしないと。」
——続いて体脂肪です。
徳永選手は満腹中枢の働きが落ちやすいです。BDNFという脳の働きに関係するたんぱく質が影響します。BDNFは加齢とともに減少すると言われています。
対策として少し空腹時間を設けること。あとは適度な運動も良いですね。プロアスリートなので普段の練習はハードな運動量だと思いますが、効果的なのは自分が心地いいレベルの運動です。
「脳の活性が落ちやすいタイプなんですね。びっくりしました。老後気をつけないとですね。今からできる対策としてはどんなことがありますか?」
——脳の活性化だとDHA,EPAがいいですね。摂取しやすいのは青魚です。生のほうが効率よく脂を摂取できると思いますよ。焼くと油が流れやすくなります。
栄養士さんにBDNFに有効な食事を指導してもらうのも良いと思います。
——骨関節の話に移りましょう。
骨関節にリスクがありますね。骨密度ビタミンDの吸収が苦手な傾向があります。骨というとカルシウムをイメージしがちですが、骨はビタミンDとカルシウムから作られています。
普段は外で練習していますか?
「はい。ラグビーなのでやっぱり屋外での練習が多いですね。」
——ビタミンDは日光と作られると言われています。外で活動している徳永選手は今の所心配なさそうですね。もし心配でしたらビタミンDを含むものを食べてください。干し椎茸などですね。ビタミンDは油脂に溶けやすい脂溶性のため油を使った料理にして吸収率アップさせましょう。
続いて関節を見てみましょう。関節はややリスクありますね。
関節(軟骨)が磨耗しやすい傾向があります。トレーナーに聞いて関節保持の筋トレをしてみましょう。
また引退後の話なんですが、今痛めた関節が年をとって筋力が落ちた時に影響が出たりするかもしれないですね。今までに大きい怪我はありましたか?
「最近だと神経損傷したみたいで右手が痺れて手を握れなくなったりしました。もうすっかり良くなったんですけどね。
回復して本当によかったです。怪我は嫌ですね・・・今回の結果も怪我予防に活かしたいと思います。」
——光の影響で睡眠の質が落ちやすい傾向があります。光の感受性のリスクを持っていますね。
質のいい睡眠のためには豆電球も消して寝たほうがいいですね。
「そういえば僕合宿所でエアコンの光が気になってガムテープで塞いでました。(笑)
あれは無意識に睡眠の質が下がるのを予防していたんですかね。
少し寝たいなってときなんかは僕はコーヒーを飲んで20分寝るのが一番すっきりします。体も重くならないし。」
——生活習慣チェックでは全く問題がなかったですからね。自分のリスクがあるところを自然と補う生活をされているように感じました。
「無意識でしたが、体質に合わせた生活をしていたんですね。IDENSILを受けてみて自分のやってきたことが間違いでなかったんだということがわかって嬉しいです。
今現在もプロとして自分で食事には気を使っているんですが、もっと良くしていくにはどうしたらいいんでしょうか?」
——このIDENSILの結果だけじゃなくて、今どんな食生活をしているかがまず大事です。その上でIDENSILの冊子を読めるスポーツ栄養士の方に食事指導してもらうのが一番大事です。
「そうなんですね。それはすごく指導してもらいたいところです。でも食事でストレスを感じたくはないなぁ。IDENSILによるとストレスの回復から苦手な傾向があったし。」
——そうですね、最初に大豆を増やすといいのでは?ストレスと筋損傷のリスク両方をカバーできますね!定食に納豆を追加したりするのは手軽な方法ですよね。大事なのはIDENSILを基にプロに指導してもらうことなんです。
2020年1月から所属する東芝ブレイブルーパスの主将を務める徳永選手。更なる活躍を大いに期待しています。
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